影響範囲と期間を考慮した早めの資金繰対策が重要

影響範囲と期間を考慮した早めの資金繰対策が重要

全世界的な新型コロナウイルス流行に伴う経済の停滞により、商流が滞り、各所で売上低下などの影響が出てきています。関与先でもグローバルサプライチェーンの只中にある会社では大きな影響が出てきています。今後の対策を考えてみました。

私が実際に最近見たサプライチェーン上の影響の類型

近年、商流が国内で完結しているケースは少なくなってきています。今回の新型コロナウイルスの蔓延が世界経済に与えている影響は大きく、グローバルサプライチェーンに広く深い爪跡を残しています。以下に私が見た今回の新型コロナウイルス蔓延で発生した中小企業におけるサプライチェーン上の影響の類型を以下にあげてみます。

(仕入れ面での影響)

  • 材料仕入先が中国で材料が入らず生産不可。
  • 材料仕入先は日本国内だが、その会社の主な仕入れ先が中国などの海外で生産不可

(販売面での影響)

  • 販売先会社の納品先が新型コロナウイルスに大きなダメージを受けた海外で販売額半減
  • 販売先で製品組立に必要な1部品の主要仕入先が中国で、組立できず当社からの販売額減少
  • 販売先が海外で販売額大幅減

他にも仕入れができず販売額が減少するなども考えられます。

今後の売上(減少)の金額と影響期間を見積る

売上減少の金額と影響期間の範囲を見積る必要があります。

顧客ごとに売上減少などの影響金額の見積もり

今後の売上高や利益を予測します。顧客ごとにグローバルサプライチェーン上のどこにいるのかを考え、顧客から入る具体的な需要の増減に係る情報を踏まえて、今後の売上高を予測します。予測しにくい場合は、悪い場合と標準的な場合などケースを分けて推定しましょう。

影響期間の見積もり

今回の新型コロナウイルスの影響は全世界に広がっており、まだ収束の時期などが見えていません。また、1か国で収束フェーズでも、サプライチェーン上の他の国では感染拡大フェーズになっていることもあります。

国ごとの影響発生の時期がずれていることもあり、いまだ収束時期は見えていません。また、今後終息しても、経済の回復はその後になることから、サプライチェーンの流れが元に戻るまでの期間が長期化する場合のシミュレーションも行う必要があると思います。短期と長期で考える必要があります。

予測される影響範囲を基に早めに資金対策を打つ

影響を見積った後は、早めの対策が肝要です。特に資金残高がぎりぎりになってから対策を打っても間に合わない場合も出てきます。その為に、見積った後は必要な金額を設定し、その資金額を確保するための早めの対策が肝要です。

早めに予測資金繰表を作る

見積もった影響金額や期間を基に、影響が小さい場合、大きい場合などケースを分けて予測資金繰り表を作成することにより、今後の必要資金が明確になります。過去の実績の利益率や売掛金や買掛金の回転期間(回収や支払いまでの期間)などを参考に、予測資金繰り表を作りましょう。先ほどの影響金額の見積もりの考え方を踏まえて作成しましょう。作成方法わからなければご相談ください。

金融機関からの融資を含む支援施策を活用する

その上で、今回の新型コロナウイルスの対策については、日本政策金融公庫による特別融資や、信用保証協会の4号認定による保証、危機関連保証、雇用調整助成金などの支援策を活用することを視野に入れていく必要があります。据え置き期間も長く設定できることから、今後の仕事の回復状況を予測しながら長めの据え置き期間の設定が必要なケースもあるでしょう。

申込から融資までの期間は、早めに動いてくれるケースもあるようですが、公庫窓口の混雑度合いによっては対応速度にも早いケースと遅れるケースとあると思いますので、それも考えて早めの動きが良いでしょう。

以下、経産省のページに支援策の一覧の冊子があります。

【新型コロナウイルス感染症で 影響を受ける事業者の皆様へ】というキーワードで検索すると出てきます。

早めに売上拡大対策を行いながら、コストコントロール対策をする

売上面の対策はとれるものの、外部環境の影響を受けやすく新規開拓等含めコントロールしにくいです。それに対して、コスト面はコントロールしやすいケースも多いと思います。予測資金繰りを行いながら、必要ならば早めにコストコントロールを行うための対策を取るべきでしょう。

私も、グローバルサプライチェーンの流れなど企業経営における外部環境の動きを注視しながら、予測資金繰り表作成や必要資金確保に向けた必要策を構築などで中小企業の関与先のお手伝いをしながら、金融機関への申し込みや説明に同行して補助することにより、関与先の資金繰り支援を行っていきたいと思います。

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