不安を減らし経営判断の明晰性を高める為に

不安を減らし経営判断の明晰性を高める為に

 経営者は孤独と言われます。それは自社の経営判断を行うのが基本的には社長の専権事項で代わってくれる人がいないからだと思います。そんな中、妥当性のある経営判断を行うのも時に難しい時もあるかもしれません。

 ここでは、妥当性ある判断を「経営者ご自身の中で明晰かつ後悔することが少ない判断」と定義したいと思います。そして、そういった経営判断の妥当性を高めていくにはどうすればよいか書いてみました。

最後は覚悟による決断、でも後悔しないために必要なことは

孤独で自分一人で判断を行う局面では、顧客からの要求や時間的な制限、その他の外部環境の制約の中で十分な検討時間が与えられず、判断していかないといけないことが多くあると思います。

また、自社の置かれている状況を客観的に把握する時間が取れず、気が付いたときには対応が後手後手に回ってしまったり、迷いに迷って余計な思考や雑念や思い込み、独りよがりな判断をすることもあるかもしれません。そして、後悔します。

経営環境の荒波の中で、最後は覚悟して決断することになる場合も多いと思います。そんな状況で明晰に妥当性ある判断を行い後悔しないために必要なことは何でしょうか?

判断の妥当性を高めるため

判断の妥当性を高める為には以下の取組みを進めることが一助になると思います。

  1. 自社の現在の状況や仕組みを知ること
  2. 自身の分からない分野を減らし一元管理の幅を増やすこと
  3. 相談できる第3者を創ること

自社の現在の状況や仕組みを知ること

 自社の状況を知るために、以下の内容が大切だと思います。

  • 外部環境を知る事
  • 月次や日次での業績や稼働状況を知る仕組みを作り把握する事。
  • 経営数値の異常値の把握とその裏にある定性的な要因を知る仕組
  • 業績を生み出す仕組みとその裏にある相関関係や仕組みを知る事
  • 設備や人材などの状況や今後の採用や退職の異動予測(退職金など含む)
  • 社員の感情やモチベーション、取り組みのベクトルを把握
  • 日々の資金の流れを知る事
  • 経営の各局面でのKPIを知り、そのつながりを知る事。

そういった仕組みの中で社内のキーマンに関与してもらう経営会議などが有効です。

分からない分野を減らしていくこと(一元管理できる範囲を広げる)

 お客様には尊敬する経営者の方が多くいらっしゃいます。皆さん、不屈の精神力で周りの経営者の方に教えを請い、専門的な勉強をしながら、資金繰りと業績を改善し、更に事業改善を進めています。

  その方々を拝見していて思うことは一元管理できている幅が大きいことです。顧客との人間関係、受注から開発、サービスや製品の見積原価、そして、需給調整、日次での売上管理、資金繰りなど幅広くカバーされています。

 日々の局面で状況把握し、その中で必要な内容を実地で経営者の先輩に教えを請いながら吸収されて、一元管理能力を上げておられます。一元管理できる能力が高まると経営の仕組みの中で業績と各項目のつながりや因果関係が分かるようになり、妥当性のある経営判断につながりやすくなります。

相談できる第3者を創ること

 自身の一元管理能力を高めるといっても一部の天才を除いて時間的かつ能力的な限界があります。そこで信頼できる専門的な相談相手を創ることも大切です。

経営者仲間に相談する

  信頼のおける親身になってくれる経営者仲間に相談できる環境がある方は恵まれています。またそういう方がいればよいと思います。

顧問税理士の存在

 一番身近なのは顧問税理士の先生だと思います。日々中小企業の現場で会計データを把握して、アドバイスを下さり、一番身近な存在だと思います。そして、それが機能している会社はとても幸せな会社だと思います。

それ以外の専門家との連携

 ただし、税理士の先生方も前述した自社の現在の状況や仕組みをすべて把握できる訳ではありません。そして、そういった自社の現在の状況や仕組みを把握することができる社長の右腕となれる社内人材が在籍している会社ばかりでもありません。

  その場合は、必要に応じて、そういった機能の補完する為に経営コンサルタントに依頼することも一つの対策だと思います。私もその中の一人かもしれません。

多面的に把握し、支えあう仕組みを創り明晰性を高める

 自社の現在の状況や仕組みを知り、時に支えてもらう仕組みを創ることが激変する環境変化の中で、ご自身の不安を減らします。不安が減ることにより、ご自身が本来持っている明晰性を高めることができます。そして、それが思い切って経営判断する中で後悔を減らし、妥当性ある決断をする助けになると思います。

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