価格転嫁の難しさと影響額を把握し利益確保することの重要性

価格転嫁の難しさと影響額を把握し利益確保することの重要性

最近企業支援の現場で出会う材料値上げによる影響

最近、製造業の社長さんと話すと、「材料の4次、5次値上げが来ることが見えている。」とか、「8次値上げが来る」など、材料の値上げの話をよく聞きます。そして、場合によっては材料屋さんからはFAX一枚で値上げ通告があって、注文即承諾とみなすという文言付きの文書だという話も聞きました。

一方で、交渉力があり材料の値上げ分を順調に価格転嫁できている一部の支援先と、それ以外の完全には価格転嫁できていない会社(こちらの方が多い)があります。その中には、大手企業の中にも材料分の価格転嫁を認めてくれないという声を何社か聞きました。

実際深くかかわっている会社で影響を試算したところ、材料費率が5~10%上がっている会社や、売上高数億円規模の会社で年間1000万円以上の材料費上昇が出ている会社も数社ありました。(業績に大きな影響が出る数値です)

値上げの原因・理由と最終製品までの流れの中での価格転嫁の意味

昨今の値上げが起きている要因は、

①国際的な原材料価格の上昇
②ロシアのウクライナ侵攻
③円安などと言われています。

また、価格転嫁を素材原料→材料→最終製品と連鎖するなかですべての購入者が値上げを受け入れていけば、企業の利益+償却費+人件費等は変わらないです。しかし、最終製品を購入する消費者は給与が変わらない中、賃上げが無いとしたら値上げ製品を買うため消費者の出費が増えます。その為、消費者が値上げを受け入れず、価格転嫁できない場合、その連鎖の中で価格転嫁できない会社があらわれ、そこが損を被ることになります。

ただ、価格転嫁できない会社が増えると、賃上げもされず中間の会社も消費者も苦しくなります。だから、価格転嫁、需要増加、賃上げが必要です。

価格転嫁の難しさ

企業としては、価格転嫁できないと経営が厳しくなります。しかし、価格転嫁は難しいという話を聞きます。次に示す中小企業庁の資料にも、価格転嫁できていない企業の割合が全体の68.6%と非常に多く、その理由は「販売先との交渉が困難」「市場での競争が激しい」ことを挙げており、価格転嫁が難しいことが分かります。

原価や価格上昇による影響額の把握と全体で利益確保することの重要性

私が支援先で一緒に行うこととして、製品などの原価や実際の材料費全体の上昇額等の影響を試算して、自社で吸収できる金額かそうでないのかを経営者の方にまずは自覚していただき、価格転嫁が必要だと判断したら、どこまでどのように行うのかを個社別に一緒に考えています。また、その際は、取引を切られるリスクと比較考量しながら進めていくことが大切で、利益減少分をどこかで取り戻す努力が必要です。

もちろん価格転嫁ができれば一番良いですが、
長年の当社顧客企業では、多品種の製品カテゴリー別に月次で売上だけではなく直接原価と利益を把握できる仕組みを会社と一緒に作りあげて定期でまわしていますが、今回の材料値上げで価格転嫁努力をしているにもかかわらず、製品別には完全に転嫁できず利益率が落ちていました。しかし、その分、仕入製品販売の利益率と額の向上でかなり取り戻せていることもわかりました。

転嫁の努力とともにどこかで取り戻すことができるようマネジメントしていくことも大切です。

素材供給元から消費者までの連鎖の中で、自社だけが損をこうむることなく、適切な価格転嫁を進めることが大切と思います。

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