環境変化対応と自己研鑽できる組織づくり

環境変化対応と自己研鑽できる組織づくり

昨日午前に訪問した継続ご支援先の経営者の方とお話ししていて、自己研鑽など「一人一人の学ぶ力」の重要性について話が弾みました。

H27年の中小企業白書でも「昨今の産業構造の変化やITを含む技術進歩に伴い、様々な事業モデルが変革を遂げる中、企業に求められる仕事をただ漫然と行うだけではなく、将来的に自らの仕事を守る自己防衛の手段として、ひいては新しい仕事を創り出すための能力開発として、自己研鑽の価値が今後増していく」と書かれており、今後ますます重要性が増す環境変化対応と自己研鑽できる組織づくりについて考えてみました。

緩やかに大きな環境変化が起きていく

ゆでガエル現象に注意が必要

新型コロナウイルスの影響などの急激な環境変化だけではなく、生産方式の変化や2015年に国連で採択されたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)など世界的な取組みの変化に伴い企業行動も変わります。そして、今まで使用していた製品が使われなくなるなど緩やかに環境変化は進んでいくことがあります。

その為、気づいたときにはぬるま湯が熱湯になりゆでガエルになってしまうという例えの通りの、ゆでガエル現象に陥りやすく、気づいたときには変化が進み、対応が追い付かない状況になってしまうことも少なくありません。

緩やかな環境変化に気づき課題を把握する

新聞記事などの一般的な情報だけではなく、お客様との会話の内容や商品や製品の販売実績、新しい生産方式の勉強をしながら、環境変化をつかみ、自社に必要なことを把握し課題を設定することが重要です。

新しい取り組みの必要性とその問題点

環境変化へ対応した新しい取り組みが必要

環境変化に気づいたら、それに対応した新しい課題設定が必要になります。新しい取り組みとしては、顧客からの新しいニーズに対応して今まで断ってきた仕事ができるようにしていくことであったり、世の中の変化に合った新製品や新サービスを開発していくことであったり、既存の生産方式を改良したり、新しい生産方式を導入して生産性を向上するなどの取組みを会社の方針として設定し皆で取組むことが求められます。

新しい取り組みを妨げる要因や問題点

中小企業は資金的な制約が大きい中で、ぎりぎりの人材でやっていたり、人材の意識の問題であったり、人材の能力にばらつきが大きかったり、人材面の問題があるケースが多いです、また、業務の繁閑差などもあり、経営者の方々ご自身もプレイヤーになっていたりすると日常的な業務を行うのに忙しくなり、計画的な人材育成が進みにくく、新しい取り組みが進まないケースもでているように思われます。

安心できる職場と自己研鑽できる組織が環境変化対応の基礎

では、新しい取り組みに向けた人材育成のためには何をすればよいのでしょうか?

安心できる職場づくりが基礎

従業員の方々が一人一人の生活を支えるために労務を提供し給与を得ます。労務を提供する中で、日々業務や職場の人間関係の問題や要望が出てきます。そういった問題があると不安に思います。不安になるとモチベーションが下がり、働く意欲も下がり、引いては離職につながります。その為、安心できる職場づくりが社員定着と人材育成の基礎になります。

会社方針の浸透と安心できる職場づくりの両立

会社の方針を浸透させながら、社員の定着や育成を行うためには、定期的に経営方針を従業員に伝えながらも、日々従業員から上がってくる問題や要望を聞いて、個人に対する組織的な配慮を行うことが大切です。面談などの仕組みも有効です。

ただし、従業員から上がってくる問題や要望は、すべてについて妥当性があるわけではないので、方針のトップダウンと対話や面談を通じて理解を求めることも大切です。その上で、貢献している社員には業績評価に加えて、「ありがとう」など日ごろの貢献への感謝の気持ちを伝えることも大切です。

共に考えながら任せることにより自己研鑽の文化を職場に定着させる。

そして、経営方針に基づく新しい取り組みを現実的に一人一人に浸透させるためには、上位職が方針を基に、方向性や目標などの概念を具体的に作ります。その上で、自己研鑽を推奨しながら、一人一人に丸投げにしないで共に考えることが求められます。

その際に、経営者は自身が自己研鑽を図りながら方針を決めるとともに、具体的にできる人材の適切な配置なども含め体制整備を行うことが必要です。そして、その体制の中で、個々の従業員にも役割や職位に応じて、現場でミッション達成に向けた自身の取組みを考えさせながら、個々の社員ができることをそれぞれに任せていくことが求められます。任せることで自分で考え始めるようにしていく必要があります。

一人ひとりが自分で考えることが自己研鑽につながります。自己研鑽は自律的に動ける組織につながり、新しい取り組みへの対応力になります。そして、それが環境変化対応につながります。

私自身も自己研鑽しながら中堅・中小企業の環境変化対応の課題解決に対して共に取り組みたいと思います。

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