職業別有効求人倍率に見る国内人材の採用難とその対策(良い職場づくりの重要性)

職業別有効求人倍率に見る国内人材の採用難とその対策(良い職場づくりの重要性)

採用難と有効求人倍率とは

毎日現場で経営者のご相談をお受けしていて最近多いのが、「採用ができない」というお悩み、本当に毎日のようにあらゆる業種でその話を聞きます。
それで、職業別の有効求人倍率が気になっていて、この機会に調べてみました。

有効求人倍率とは、「経済指標のひとつ。求職者(仕事を探している人)1人あたり何件の求人があるかを示すものである。」(Wikipediaから引用)

とのことです。倍率1倍が均衡しているポイントで、それより倍率が高くなればなるほど、求職者は引く手あまた、企業側は採用が難しくなることをあらわしています。

職業別有効求人倍率の年度別推移にみる採用の難しさ

最初に網羅的に見てみるとあまりにも多くの職業があり、分かりにくかったので、私が気になる主要な職業を中心に抜粋してみました。

赤線が全体の平均の有効求人倍率です。赤線を超える有効求人倍率が高い職業も多くあります。
赤線(全体平均)を超えるものとしては主なものは、

2022年3月時点で
・専門的・技術的職業 1.84倍
・販売の職業 1.66倍
・生産工程の職業 1.92倍
・輸送 機械運転の職業 1.91倍

が高くなっています。ここにないものでは、介護の職業なども非常に高いです。
求職者からすると選びたい放題(笑)の一方で企業は採用が難しくなってきています。

また反対に、「事務的職業」や「運搬・清掃・放送等の職業」は求職者が余っている状態かもしれません。

特に生産工程の職業(製造業など)は2012年比で雇いにくさが約3倍になった

中でも特筆すべきは、生産工程の職業は製造現場などの職業です。2022年3月の求人倍率は1.92倍で2012年の0.64倍と比較すると約3倍になっています。
コロナ禍になり、いったん生産工程の職業の有効求人倍率も大きく低下して雇用しやすくなっていましたが、ここ2年で急激に上昇し、高かったコロナ前の2019年の有効求人倍率を超えています。非常に採用が行いにくくなっており危機感を感じます。
生産工程の職業は特に雇いにくさが増しており注視が必要です。
私も直接のお客様に製造業の会社が多いことから、このグラフを見ながら人材育成や採用の方針策定のアドバイスをしたいと思っています。
また、変化が急激なだけに意識変革が追い付いていない経営者の方もいらっしゃるように思います。

外国人技能実習生などの活用

弊社クライアント企業様で、今月から外国人技能実習生が数名入社した製造業の会社があります。外国からの入国制限が解除されてきて、面接はオンラインで1年半ほどにしていたものの、やっと受け入れができ、これで人員確保ができ体制安定化につながり少しホッとしています。
そういった、外国人の技能実習生や特定技能制度による受け入れというのも1つの方策になると思います。ただし、そういった外国人技能実習生の受け入れは手間が非常にかかります。

企業の存在意義を共有し従業員と会社がお互いに高めあえる良い職場づくりの重要性

有効求人倍率の推移を見ていると、国内人材中心に事業を行っていると、いったん辞められたら代わりの人材を雇うこと自体が大変です。加えて、雇ってもそこから人材育成するのにはさらに長期間が必要なケースもあります。

そうした、雇いにくさ、育成の大変さを考えると、今在籍している従業員の皆さんを大切にすることがますます重要になっているように思います。その為には賃上げも必要でしょうし、休日数や休暇の面も配慮が必要と思います。その為の製品サービスの値上げも必要かもしれないです。

そういう中で、会社と従業員がお互いに高めあえる関係性が理想ですが、言うは易し、行うは難しですね。ただ、コミュニケーションをとりながら、会社のミッション達成という共通目標の下で、感性を働かせながら会社も従業員も相互理解を深めてよい職場を作っていくことがますます大切になってきているように思います。

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