新規分野へ進出しながら成長する(事業再構築補助金のパンフレットを見て)

新規分野へ進出しながら成長する(事業再構築補助金のパンフレットを見て)

先日、顧問先の経営者から事業再構築補助金の申請をしたいと相談がありました。それで、お話しながら、「再構築」について、どのような考え方が必要かという話になり、事業再構築補助金のパンフレットを見ながら話をしました。

その内容を見ていて、次のフレームワークが使えそうだということで、画面共有しながらお話を進めました。

方向性を検討するのに役に立つフレームワーク

アメリカの経営学者であるイゴール・アンゾフが提唱した考えで、企業が成長戦略を検討するための「成長ベクトル」というフレームワークです。

中央経済社刊 「アンゾフ 戦略経営論[新訳]」P305から引用
※(市場):筆者が上記書籍を読んだうえで補記

1)市場浸透戦略

現存の市場に現存の製品を販売する戦略です。既存顧客深耕という考え方になります。
今いる場所はここであることが多いです。上記図で着色してある部分です。

2)新製品開発戦略

現存の市場に新しい製品を開発し投入する戦略です。

3)新市場開発戦略

新しい市場を開拓し、現存の製品を展開する戦略です。

4)多角化戦略

新しい市場に、新製品を投入する戦略です。

新分野展開や新領域への進出(何が再構築か?)

再構築に該当しそうなのは、以下の着色部分です。

再構築の定義のヒントとしては、事業再構築補助金のパンフレットに、「新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等を目指す」とあり、これがヒントになります。
再構築に該当するという意味では、一番濃い色で示している④多角化戦略は間違いなく該当しそうです。これは、市場も製品も「新規」ということになります。

次に該当しそうなのは②新製品開発戦略と③新市場開発戦略です。この2つは市場か製品のどちらかが「新規」です。
「新規」ということは、現在は無いものになります。現在無いものを創るという意味でハードルは上がります。

事業再構築補助金は成長が前提

それに加えて、パンフレットでは「規模の拡大等を目指す」成長前提の考え方が示されていて、これもハードルの高さを感じます。
それらを総合すると「再構築」という考え方は難易度が高い考え方であると思います。
※補助金の実際の採択率の高低はどうなるか分かりませんが。

実現可能性を高める(絵に描いた餅にしないために)

方向性のアイデアは数多くを見出せたとしても、市場ニーズを捉えていて、実際の売上高につながらなければ絵に描いた餅になってしまいます。
市場ニーズを生み出して新規分野へ進出し成長するために以下の考え方が大切です。

1.自社の経営資源のコアコンピタンス(強み)の認識と活用

コアコンピタンス、「競合他社に真似できない核となる能力」が何であるかという認識を持つ必要があります。そして、その活用を考えることが参入障壁につながり、売上を守る可能性があります。

2.足りない経営資源の補完

今まで、新規分野へ進出できなかったのは、アイデアだけではなく、自社の実行可能な人材や機械等や資金等の経営資源が不足していたことも一因だったりします。
その為、現在、自社にない経営資源をどのように補っていくという考えも必要かもしれません。

3.ITや新しい手法を活用し市場を捉える

SNS、オンライン展示会やオンラインビジネスマッチングなどを含め、幅広く検討が必要かもしれません。
また、見込み客にアンケートやヒアリングが必要になる場合もあります。
テストマーケティングを兼ねてクラウドファンディングを使用して市場の反応を見たり作ったりなどという方法もあります。

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