ポートフォリオの重要性と経営革新

ポートフォリオの重要性と経営革新

コロナ渦の中で各社の売上高の変動が大きくなっています。その中で、1つの事業や1つの会社からの受注等へ依存せずに、いくつかの事業や顧客に分散、また販売形態を複線化している会社の売上高が低下しにくくなっていることを見ます。

コンサルティングの現場で売上高の確保について論じる時にポートフォリオが問題になります。そして、新しいポートフォリオにしていく活動というのは大なり小なりその会社にとって経営革新という位置づけになることが多いです。

ポートフォリオとは?

ポートフォリオとは、元の意味は書類入れなどを指す英語で、金融用語としての意味では安全資産と危険資産の組み合わせのことを指しています。長じて、ビジネスの中で、リスク分散を企図する際に使用されることも多い言葉です。

事業上でもポートフォリオを構築し、外部環境変動のリスクを分散することが大切です。

このコロナ渦の下でもポートフォリオを上手く作れている会社が売上高を下げにくいことを見ます。

リスク分散するためのポートフォリオの方向性

それでは、ポートフォリオにはどんな種類があるのでしょうか?例示ですが、以下のような方向性があると思います。その他にもいろいろあると思いますので、自社に合ったポートフォリオを模索していきたいところです。

  1. 顧客数による分散
  2. 販売業種や分野を分けてリスク分散
  3. 販売業態を複数持つことによる分散(ECの利用など)
  4. 製品や商品の種類を増やす(新規分野への進出など)

顧客数による分散

 顧客数が多い会社はリスク分散しやすいです。実際に売上高も下がりにくくなります。ただし注意が必要なことは、段取り替えなどの手間も増えてしまうことがあることです。その為、細かい先を増やしすぎるのは注意が必要です。また、利益確保は原価を正確に算出しながら最低限留意が必要です。

販売業種や分野を分けて分散

例えば製造業などのケースで建築部材分野と産業機器分野とか、建築分野と土木分野とか、半導体分野と産業機器分野とか最終顧客の属する業界を意図的に中期的に分けていっている会社が見られます。

 中期的な取組みになりますが、実際に数年単位で複数分野に販路を持つ商社経由で今までとは違う分野からの仕事を取り込み試作開発するケースなどを見ます。そして、それが功を奏すと売上が補完しあうことが可能になります。

販売業態を複数持つ(ECなど)

 昨今、国の行う補助金でも非対面ビジネスへの転換が要件の一つになってきています。

販売面では、EC事業を行っている会社は対面営業の販売形態に比べて売上高が落ちにくくなっている会社が多いように思います。

製品や商品開発による増やす(新規分野への進出)

室内需要への対応による分散をしている会社がありました。今回のコロナ渦では、同じ業界でもステイホームに対応して室内でできる需要に対応するなど、製品開発をして対応している会社も多く見ます。

ポートフォリオ構築(経営革新)に向けて大切な一元管理の視点

ポートフォリオ構築は今までのやり方を変えるという意味で大なり小なり経営革新の取組みになります。今の環境変化が激しい時代、売れる製品や分野、顧客や競合の動向等外部環境は日々変わります。

それに対して、こちらが心理的に固定化していると、その変化に付いていけなくなる可能性が出てきます。その為には、依存心を減らす、変化に対応する取組みが必要になります。その際に、経営者が一元管理しながら、以下の視点で見れていることが大切です。

  1. 自社の強みを生かす
  2. 資金繰りに留意する
  3. 利益管理
  4. 自社の能力に合った時間軸で行う

自社の強みが生きる市場や顧客への対応

自社が今持てている経営資源や強みをどのように活かすのかという視点が大切です。それは経営者の能力やこれまでの顧客かもしれません。または、稼働率の低い機械設備なども活かし方によっては強みに変わるかもしれません。その上で、自社の人的能力や稼働状況や資金状況などを踏まえてできることを、対市場で見つけていくことが大切です。現実的かつ具体的な需要が見込める市場や顧客があれば、それをどう自社の強みと結びつけるか企画します。

それでも埋まらない経営資源は外部から補うことができるかどうかも検討が必要です。

資金繰りに気を付ける

複数事業を持つことにより資金繰りが悪くなることがあります。自分が見たことがあるのは、利益率の低い仕入れ商品の支払いサイトを長期化していたりすると、後々の資金繰りが悪化してしまいます。支払時期に入金が少ないと目が当てられません。

入金と支払いが同時になるようにしていくと運転資金の問題は回避しやすいです。入金サイトが長期化する場合にその事業の拡大には注意が必要です。

顧客やカテゴリーごとの利益管理を丁寧に行う

利益が出ていないと元も子もありません。その為、カテゴリーや顧客が多くなればなるほど1つ1つの会社の売上高のボリュームや利益金額などを確りと把握した上で、対応方針をどうするかを明確にしていく必要があります。

弊社の過去ブログでもその大切さを書いています。

自社の経営資源の能力を踏まえた時間軸や経営資源の補填

経営資源(人、もの、金、情報)の状況によって、短期か長期かを問わず、現実的な時間軸で進めることが必要です。経営資源の能力が整う見込みがあれば、リスクはありますが短期で進めるということもあります。一方で、中期的にじわじわと新しい分野の製品を増やしている会社もあります。また、顧客増加を外部ネットワークを活用しながらじわじわ進めるということもあるかもしれません。数年単位での需要増加を目指して、新製品開発を進めている会社もあります。

自社にない能力を外部補完するということも大切です。

そして、上記視点で一元管理して把握したうえで、進めることが大切と思います。

引き続き、経営改善計画の策定や経営革新計画の策定など事業計画の策定支援を通じて、経営革新への取組み支援を行っていきます。

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