妥当性のある事業計画とは

妥当性のある事業計画とは

現場で見た妥当性のない事業計画

現在の関与先で、私が計画策定で関与させていただく数年前に、金融機関からの紹介で私の同業に経営改善計画を策定してもらったという会社があります。その前回別の専門家に作ってもらったという計画は、総花的に30個以上の沢山のアクションプラン(実行内容)が掲載されているものの、アクションプランが沢山ありすぎて何をすれば良いかわからない。(私から見て)またやる理由も明示されていない計画書でした。

その結果、ほとんど全てのアクションプランが未実行で、改善も進んでいませんでした。その計画を見ながら、私は実行されない事業計画には妥当性が無いと思いました。

妥当性のある事業計画

では、妥当性のある事業計画とはどのような計画なのか?

一言でいうと、結果的に実行されて改善が進む計画だと思います。そして、それを支える内容は妥当性のあるアクションプランと数値計画に分けられると思っています。

妥当性のあるアクションプラン

一言で言って、現在の会社にある経営資源とその能力や課題を踏まえた根拠のあるアクションプランが妥当性につながります。

経営資源は「人」「もの」「金」「情報」の能力を押さえている必要があります。

このうち、「もの」「金」については、見えやすくわかりやすいと思います。機械装置などは生産個数や生産時間、運送などではトラックの積載量、配送距離、配送時間など物理的な制約条件が数値で現れやすいです。

それに対して、「人」と「情報」はわかりにくいです。とくに、その中の「人」については、心をもっており、心は見えず定性的であることから、その中味を知るためには対話が必要になります。その人との対話を通してその方のモチベーションを知ることができます。また、実行支援の現場で長年付き合っていると、環境変化への反応や厳しい環境になったときに、その方がどのように反応するか見えてきます。普段はとても優秀なのに、経営環境悪化したとたん、ネガティブな反応する人もいて、そういったキャラクターや個性なども注意深く観察して把握します。他には、モラルサーベイやアンケートを行ったうえで、補完的にインタビューすることなども見える化につながり有効です。国家資格なども人的能力の把握につながります。

また、「情報」面では、経営者が社内外の情報把握を的確に把握するためのネットワークや仕組みを持っているか?そして、それを踏まえて方針を組織に反映するための仕組みがあるかどうかが重要です。その為の組織体の有無やそこで行われている内容を確認します。意外に、そういった仕組みが無いケースも多いです。

そういった経営資源の持つ能力や課題を踏まえて、チャレンジする面と無理のない面とのバランスを考えながらアクションプラン策定を進めます。できるだけ、プラン作成過程で実行に関わる「人」を巻き込んで一緒に作成を進めます。

妥当性のある数値計画

一言で言って、前期までの決算や資金繰りとその内容を含め、過去の数値が出来上がる過程や根拠を押さえて作られていることが妥当性につながります。

その為には、数値ができあがる構造を押さえている必要があります。それを明確にするためには、顧客別や製品別などの売上数量、原価や利益を明確にする必要があります。できたら、設備能力を踏まえた生産能力や仕入れ先への発注内容ごとにどのように発生しているのかを知る必要も出てきます。また、資金繰りについては大雑把には回転期間、もっと細分化すると、顧客別仕入れ先別のサイトを押さえて計画できると、どのようにお金が発生したのかが振り返りやすいです。

また、前期までと違う内容の全くの新事業を始める場合は、運営プロセスにおける生産に伴う時間等から算出される設備能力の限界値等を押さえて、無理のない数量を算出したうえで、計画数量を作る必要があります。その上で、事前に引き合いのある取引先との間での契約や発注見込み数、仕入れ先の見積原価などを製品ごとに算出するとともに、数値にストレスをかけることにより、徐々に妥当性は上がってきます。

そういった積み上げを丁寧に行いアクションプランと統合しながら作成を進めることにより、実現可能性が高い計画になってきます。

最後はリーダーシップ発揮と組織的な実行が肝

妥当性のある事業計画の仕上げは実行が伴い改善が進むことです。その為には組織的な実行を伴うことが肝要です。実際に実行されなければ、事業計画はただの絵に描いた餅になります。実際の果実を得るためには、実行していくことが大切です。そして、事業計画に命を吹き込み、実行が伴う妥当性あるものに仕上げるのは、経営者の方のリーダーシップ発揮だと思います。

私も、こういった形で計画策定や実行支援に関わらせていただき、事業構造や数値が出来上がるまでの構造や仕組の把握能力を高めながら、各社ごとに違う経営システムに対して、オーダーメイドに計画策定段階や実行支援現場で関わらせていただこうと思います。

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