売上原価を理解することが利益改善につながる

売上原価を理解することが利益改善につながる

 私が、経営改善計画を作成するときに確認する肝心な部分が売上原価です。その売上原価が明確になっていればよいのですが、無いときもあります。

 データが無い時はデータを作ります。売上原価を調査しデータを作ってから改善計画を作ります。

 最近、コロナ下でも、原価データを作って経営改善計画を作った会社でコロナ前より大幅な利益改善ができている会社も何社かあります。そういった会社を見るとこちらもとても嬉しくなります。

 原価を下回らない価格設定ができ売上高を確保できれば利益改善ができる確率が上がります。

売上原価を明確にする(事業調査の現場で)

 私の仕事では、製造業のお客様が多く、そのご支援の際に必ず行うことがあります。それは製品別や顧客別の売上高と原価の明確化です。しかし、私が事業調査で入る段階ではデータが無く原価が分からないことも多いです。無ければ作ります。

 そこで行うことが、その会社に原価を把握するシステム等や運用の仕組みがあればそれを活用させていただき、そのシステムや仕組みが無い場合は、日報を作り原価を調査して原価データを0から作ります。

 ある会社では案件別に現場に日報を回付、その案件別に工程別稼働時間(人数)と原価が記入してある日報に外注や材料費などをすべて記入してもらい、3か月間、現場従業員の皆さんに全案件日報を回付して手書きで記入してもらい、案件別に工程別時間と原価を明確にしました。そして、それを私の方でエクセル入力し電子データ化して、売上原価と利益額や利益率を明確にしました。データ入力だけで2週間程度かかることもあります。しかし、そのお陰で売上原価が明確になります。工数がかかる内容です。

利益率低い赤字仕事を惰性で続けないことが利益改善に必要

赤字案件が窮境要因ということがある

 案件別、顧客別に売上原価が分かり利益が分かると、その中には、利益額や率が極端に低い案件が見つかることがあります。そして、稼働時間も長いそんな案件が赤字を作っていることがあります。

 多工程の場合、入口に近い工程の機械や社員の稼働時間を多く取っているにもかかわらず、材料費や外注費などの原価控除段階の利益額や率が極端に低い、非常に割の悪い案件の売り上げに占める割合が1割程度あることを発見することがあります。そして、その為に利益の見込める仕事をできなくしてしまっているケースがあります。

 そして、これが窮境要因になっていることがあります。

売上高を失う恐怖で赤字仕事を惰性ですることを乗り越える為の原価

 しかし、売上原価が分からないと、なまじ売上高があると売上高を無くす恐怖が先に立ち、惰性で赤字仕事を続けてしまうことも多く見られます。

 その恐怖を乗り越えるのが、先に作成した案件別顧客別売上原価の明確化です。そして、それが割の非常に悪い赤字仕事を続けない根拠になります。

赤字仕事は価格交渉か製品の改廃をし利益改善する

 そういったケースでは、大幅な価格交渉や改廃などを提案します。実際にそれを経営者の方が実行し、その赤字案件の仕事が無くしたことで、他の新しい黒字仕事が入り利益額が大幅に改善した会社が何社もあります。経営者の方が利益改善の必要性を認識し、顧客との単価交渉などへの覚悟を決めると変わってきます。 経験上、利益の極端に低い赤字案件を無くすことにより、利益改善ができる可能性が大幅に高まります。

原価データベースの構築も周囲を巻き込む効果が見込める

 また、データベースを活用して案件別で売上原価データベースを構築して、データを蓄積していくことも意義があります。kintoneというデータベースのクラウドシステムを活用することもあります。クラウドなのでとても安価です。

 そのデータベースを作り、その情報を基に原価低減や受注方針などを現場責任者レベルの方々と利益改善の材料として話し合うことで利益が出る受注を創るために必要なVE活動を現場とも共有していくことができるようになった会社もあります。

原価を見た柔軟で的確な受注方針が構造を変え売上・利益の両立に繋がる

 儲かる受注や、利益はそこそこだけど売上高のボリュームは確保できる仕事が明確になると、適時どのように受注案件を具体的にミックスさせていくべきか、いつ受けるべきかなど日々変化する受注状況に応じた受注方針を柔軟かつ的確に作りやすくなります。

 実際に、案件別に経営者がどの案件がどのくらいの利益額と現場稼働率への影響があるか理解したことで、受注方針に変化が生じ、受注案件のミックスを日々意識しながら行って、構造を変えて、売上の確保と利益確保の両立という改善成果が出て数値も大きく改善した会社があります。新規受注活動にもつながります。

 実際に、そういった支援をして、それがその会社の大幅な利益改善など数字に表れてくるのを数年単位で継続的に実行支援現場で見てくると、会社をよくするためには必要なのはまずは原価管理の明確化だと心底実感します。

 というわけで、売上原価を明確化すると、何をしなければいけないか具体的にきっと見えてくると思います。

 今後、コロナ渦の影響を乗り越えていくときに必要な内容と思います。

 私も引き続き原価明確化の支援を通して、企業様の利益改善のお手伝いを引き続き行っていきたいと思います。必要だとお感じの経営者や機関の方、ぜひご相談ください。

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